秩父鉄道の終着駅三峰口に降り立つとこのあたりの桜は、曇り空の下満開だった。秩父駅から西側の沿線の周りはどこも桜の花が、薄桃色の雲のように点々とまたはつながり広がっていた。途中の駅では和太鼓や笛を鳴らしなにかの催しが行われており、乗客たちはそれぞれの駅に桜に誘われるように降りていった。
三峰口へ降りたのは2回目だった。前にきたのはもう3年も前のことだ。駅前の風景は特に変わった様子はないが、そば屋の表が綺麗になっているようだ。綺麗になったそば屋ではなく、駅の臨時営業っぽい立ち食いで天そばを喰い。バス停で土地のばあさん二人とバスを待ちながら、いつもの年寄り同士の会話を聞いていた。
曰く、電車の時刻表が分かりづらい。
最近秩父に来る観光客が減った。昔は渋滞でどこへ行くのも難儀した。その頃は店を出していた。
若い者がいない。
バスの本数が少ない。乗客がいないからしかたない。が、朝は登校の小学生が3人乗っている云々。
何処の田舎でも聞くキーワードだ。
その内秩父湖行きのバスが来て、二人のばあさんは先に出て行った。自分は三峰神社行きが来るまで特に何もせず待っていた。
いつもだとここで小一時間一人で時間まちがあったりするのだが、今回は5分程で待っていた三峰神社行き急行がきた。
案の定、誰も乗っていない。早速いつもの左側最前列の席に座った。この席は前も横も見えるバスでは一番いい席だ。
運転手は結構若い気のいい人で道中、あれこれとガイドしてくれた。
秩父湖に向かう渓谷沿いの道は小雨模様ながら今が満開の桜があり、くねくねした道を曲がるたび、美しい桜を散らした渓谷が次々現れた。運転手さんもすかさず、ここは紅葉もいいとか、昨日テレビでこの温泉が出てた。とかいろいろおもしろい話を教えてくれた。
20分ほど走り秩父湖に着くと一人お客が乗ってきて、バスの行程はいきなり本日のハイライトを迎えた。道を右に曲がると、驚くほど狭いトンネルが現れたのだ。バスでつっこむには無謀すぎると絶句する狭さだ。ほとんど幅一杯でトンネルに入っていくと、もっと驚くことになっていた。狭いトンネルの中で右山梨、左三峰神社と分岐してるのだ!(当然トンネル内は1車線)
狭いトンネルの中で左折して(何を言ってるのか分からないかもしれないが…以下略)、驚いているといきなりトンネルを抜けた。抜けたらまたいきなり、そこはダムの上だった。当然、幅はぎりぎり、さらに曲がっていた。はっきり言うと、人生で一番すごいバス路線だと思った。上高地連絡バス、立山のトロリーバスを凌いでいると思った。
この路線が650円で乗れるとはなんてスバラシイことだ!すばらしすぎる。(このブログを見た関東近郊の人は是非行ってみてください。さらに前が見える席なら言うことなしです。)
ダムを過ぎても登りはつづき、最後には雲の中に入り、あたりは真っ白けになった。神社の駐車場では視界は30メートル程度で上も下もなにも分からない状況になった。そうは行っても次の便までは2時間あるため、霧雨模様の中神社に向かって歩き出した。

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